育児休業給付金の受給額を、休業開始前の賃金と休業期間に基づいて計算します。配偶者の休業取得状況も考慮します。
介護休業給付金とは
介護休業給付金は、家族(配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母)の介護のために仕事を休んだ労働者に対して、雇用保険から支給されるお金です。収入の一部を補填することで、仕事と介護の両立を支援する制度です。対象となる家族の範囲は法律で定められており、要介護状態にある家族を介護する必要がある場合に利用できます。この給付金は、労働者の生活の安定と、必要な介護を提供できる環境を整えることを目的としています。
給付金の計算方法とルール
給付額の計算は、主に3つのステップに分かれています。まず、「休業開始時賃金日額」を求めます。これは、介護休業を開始する前の6か月間に会社から支払われた賃金の総額を、計算上180日で割って算出します。ここでいう「賃金」には、基本給、各種手当(役職、家族、通勤)、時間外労働手当など、労働の対価として支払われるほぼすべてのものが含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれない点に注意が必要です。
次に、この計算で出た賃金日額には、法律で上限額が設定されています。この上限額は、物価や賃金の変動を反映して毎年8月1日に見直され、その時点から翌年7月31日までの1年間(「年度」)に開始する休業に適用されます。計算ツールでは、ご自身の休業開始日がどの年度に該当するかを選択することで、正しい上限額を適用します。実際の賃金日額は、計算値とこの上限額のうち、低い方の金額が採用されます。
最後に、採用された賃金日額の67%を「1日あたりの給付額」とし、これに実際の休業日数(最大93日)を掛けて給付金の総額を算出します。さらに、休業期間中に会社から有給休暇の賃金など何らかの支払いがあった場合は、その金額が給付金総額から差し引かれ、残額が実際の受給額となります。差し引き後に残額がなくなったりマイナスになったりする場合は、給付金は0円です。
具体的な計算例で詳しく解説
実際の数字を使って、計算の流れを追ってみましょう。例えば、2025年度(上限額15,516円)に介護休業を開始し、過去6か月の賃金総額が240万円、休業日数が20日、休業中に会社からは5万円の支払いがあった場合です。
- 休業開始時賃金日額(計算値): 2,400,000円 ÷ 180日 = 13,333円
- 適用する賃金日額: 計算値13,333円は、2025年度の上限額15,516円を下回るため、そのまま13,333円が適用されます。
- 1日あたりの給付額: 13,333円 × 67% = 8,933.11円 → 8,933円(小数点以下切り捨て)
- 給付金総額: 8,933円 × 20日 = 178,660円
- 実際の受給額: 178,660円 - 50,000円 = 128,660円
このように、この場合の概算受給額は128,660円となります。もし過去6か月の賃金総額が非常に高く、計算値が上限額を超えていたら、上限額の15,516円を基に計算が進むことになります。
よくあるケースと重要な注意点
高収入の方の場合: 先述の通り、賃金日額には上限があります。そのため、どれだけ収入が高くても、1日あたりの給付額には上限が設けられています。2025年度の場合、上限額は15,516円ですので、1日あたりの給付額の最大値は10,395円(15,516円×67%、小数点以下切り捨て)となります。
パートタイムや短時間労働者の場合: 雇用保険の被保険者であれば、パートタイム労働者でも受給資格があります。ただし、休業開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上あることなどの要件を満たす必要があります。計算方法は正社員と同じです。
複数回に分けて休業を取得する場合: 対象家族1人につき、通算93日を上限として、複数回に分けて休業を取得できます。この場合、各回の休業開始日が属する年度の上限額を適用し、かつその回の休業開始前6か月の賃金で賃金日額を計算し直す必要があります。状況が変わるごとに個別に計算することが重要です。
有給休暇との関係: 有給休暇を取得した日は「休業」とはみなされず、給付金の支給対象外となります。有給休暇の賃金が支払われた日と介護休業日が重ならないように計画する必要があります。計画が難しい場合は、会社の総務部門やハローワークに相談することをお勧めします。
給付金申請の流れと必要な書類
給付金を受給するには、まず会社に対して「介護休業申出書」を提出し、介護休業の取得を正式に申し出る必要があります。この申出書には、休業する従業員の情報、介護する家族の情報、そして休業の開始日と終了日(または日数)を記入します。このツールで計算した「介護休業日数」は、この書類の「申請休暇日数合計」欄を事前に確認するのに役立ちます。
会社での手続きが済んだ後、従業員本人(または会社を通じて)がハローワークに必要書類を提出して給付金を申請します。主な必要書類は、介護休業給付金支給申請書、賃金台帳の写し(休業開始前6か月分)、休業した事実を証明する書類(会社の証明書など)、対象家族の要介護状態を証明する書類(介護認定通知書や診断書の写しなど)です。申請が認められると、原則2か月に1回、指定した口座に振り込まれます。初回の支給までには申請から1~2か月程度かかることもあるため、経済的な計画は余裕を持って立てましょう。